松乃木大明神の猫塚【三味線に使われる猫皮の供養塚】
大阪府下でもイチニを争うディープな町として知られる西成の地に「猫塚」なるものがあり、それは三味線の皮に使われた猫を供養した塚だ、との話を教室の先輩に教えていただき、早速足を運びました。
松乃木大明神の猫塚
少々迷いながらスマホの地図アプリを頼りに、路地の奥の奥、松乃木大明神と言う小さな神社の境内にその猫塚を発見。
光の加減で少々判りづらいかと思いますが、三味線の胴の形をした石碑です。
ご存知、我々が使用する沖縄三線では養殖されたニシキヘビの皮が使われますが、琉球から堺の地にやってきた三線はやがて三味線となり、ニシキヘビの皮では無く、猫皮が使用されるようになりました。
>>> 堺にある三味線伝来の石碑 の話
猫塚のある界隈は、今も「飛田新地」を有する夜の街、猫塚が建立されたのは、今から100年以上も昔の1901年(明治34年)、かつては、こうして有志が集まり、供養をしようと思い至ったほど三味線の音が毎夜聞こえて賑やかだったんだなと想像出来ます。
本皮を使うことの是非
ちなみに、地唄などで使われる、細棹三味線、中棹三味線には主に猫皮が使われますが、太棹の津軽三味線は犬皮、自分たちも大蛇の皮を使ってはいるものの、猫や犬と聞くと、ちょっと躊躇する感情が湧いてしまいます。
実際に、ネコちゃんワンちゃんの皮を使うのは如何なものかと、言う声は少なくないそうで、現在では人工皮を始めとする代替皮も普及しているそうですが、やはりその音色は、本皮には及ばないとのこと。
三線の世界でも、もはや本皮を使う時代じゃないとおっしゃる大御所の先生もいると聞くものの、本皮の方が音は良い、上等だと言う風潮は確実にありますが、確かにペットとして蛇と暮らす方から見れば、「けしからん」という感情になるなと思います。
天然皮が良い、人工皮が良い、と言及できるだけの三線の腕も考えも持ち合わせて無い私ですが、猫皮と蛇革と言う違いはあるものの、人々の楽しみである芸事の為にその生命を使わせて頂いていると言う現実に感謝して、しっかりと手を合わせ松乃木大明神を後にしました。
猫塚へのアクセス
大阪メトロ 堺筋線・御堂筋線の動物園前から10分ほど、その他、各路線の天王寺駅やチンチン電車などでもアクセス可、
界隈は昭和の色がたっぷり残るディープな町、手を合わせた後の散策も色々と楽しめますが、女性の独り歩きはあまりおすすめしないかも。
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