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2019-03-15

【宮古民謡】豊年の歌

【宮古民謡】豊年の歌

宮古民謡を代表する唄の一つが豊年の歌です。

豊年の歌、豊年の唄、豊年のあやぐ、豊年の綾語、など、幾つかの呼び名が見られます。

特徴的なのが「世や直れ(ユヤナオレ)」という言葉が繰り返し使われていて、ここでもやっぱり、圧政と向き合う人々の姿を垣間見、豊年を心から祈った農民たちの思いに胸を打たれます。

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豊年の歌はもちろん、宮古民謡を聴いて感じる、宮古の唄のこの明るさはなんだろうと思わずにはおれません。

この唄は、宮古民謡のコンクールの課題曲としても歌われ、最も宮古民謡らしい唄だという声も高く、必ずレパートリーに加えておきたい唄です。

そんなことを考えながら、歌詞を繋いで行けば、味のある唄が身に付くからと、先生に言われたことを思い出します。

豊年の歌の歌詞

今年から始みゃしよ(サーサー) 弥勒世ぬ実らば 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

今時蒔き゜粟ぬどよ(サーサー) 10月蒔き゜米ぬど 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

すだますゞなうらば(サーサー)よ まだますゞ見のらば 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

御主貢物搗き゜納みよ(サーサー) 天貢物ばり納み世 や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

搗納みぬ余す゜やよ(サーサー) ばり納みぬ残す゜や 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

粟俵やひ゜だつしよ(サーサー) 米俵やくさてぃあし 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

ぴだつしぬ余ずやよ(サーサー) くさてぃあしぬ残ずや 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

粟ぬ神酒たりうとうりよ(サーサー) 米ぬ神酒たりうとうり 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

地頭ぬ主やお供しよ(サーサー) 目差主やつかいし 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

地頭ぬ主やゆなうすよ(サーサー) 目差主や中皿 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

親類皆お供しよ(サーサー) 村や皆つかずし 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

昼七日飲み遊ばよ(サーサー) 夜七日飲みあすば 世や直れ
ヨーイテイバヨイダキヨ(サーサー) 揃いど美さぬ 世や直れ

唄の解説

冒頭でも書きましたが、歌詞もシンプルで判り易く、明るく「世や直れ」と豊年を強く、心から願って歌われた唄だということが判るのではないでしょうか。

世や直れと言うのは、世の中が良くなれ、と批判などの叫びではなく、もっと単純に米や粟などの農作物が沢山実って欲しい、そんな思いの方が強いんだとも教わりました。

この話を聴いて、なるほどと思ったのですが、私達は、今の豊かな情報で溢れかえっている時代と比べるから酷い時代だったと胸を痛めたりもするものの、当時の人は比較対象も持たず、眼の前の現実がすべてだったはずです。

もちろん、特権階級に暮らす人を羨ましく思ったりはあったことだと思いますが、豊作を祈り、家族、村の人全員の幸せを祈り、毎日を精一杯暮らしていたことが、宮古民謡の中からは伺えます。

「揃いど美さぬ 世や直れ」と言う下の句が、こうして歌詞に思いを寄せていると、印象的に頭に残りますね。皆で揃って美しく綺麗になる暮らしがしたい、世や直れ、と歌われています。

早弾きと遅弾きの豊年の歌

この曲は早弾き遅弾きがあって、速弾きの豊年の唄を覚えたくて、国吉源氏先生の豊年の唄が入ったCDを購入したら、遅弾きの方だった、という笑い話が実際に周りではおこっています。

確かに、CDには豊年の歌と書かれていても、どちらのバージョンなのかは書かれて居ないので、迷ってしまうかもしれませんが、国吉源氏先生を始め、CDでは圧倒的に遅弾きの豊年の歌が多いと思います。音源購入時には注意が必要です。

手元にある速弾きの豊年の歌のCDが4枚ありました。

【宮古民謡】豊年の歌
宮古の綾語宇宙に響く 譜久島淳慈

【宮古民謡】豊年の歌
宮古民謡集Ⅱ 与儀栄功

【宮古民謡】豊年の歌
宮古民謡集 来間武男

【宮古民謡】豊年の歌
わーり美ぎ島多良間島 ずみっ! 清村斉

テンポよく踊り出したくなる早弾きと、じっくりと聞かせる遅弾き、両方覚えるのは当然として、どちらが好きかと言われると迷ってしまいますが、個人的にはテンポ良く流れる早弾きが好きかもしれません。

発表会やライブで良く見る、遅弾きからはや弾きへとスイッチする豊年の歌なども最高ですね!

三線や唄は、速弾きとなれば、難易度がぐっと上がりますが、遅引きは比較的音も拾いやすく、宮古民謡を代表する唄であると共に、宮古民謡の入門として必ず取り組むことになると思います。

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