三線の周りにある沖縄の楽器の数々
唄と三線、この最小ユニットでも私達が学ぶ琉球伝統芸能の一つである、三線が素晴らしいものであることは、私達が良く知るところですが、琉球の地には他にも幾つもの伝統楽器ががあり、素晴らしい演奏を聴かせてくれるのです。
琉球伝統芸能の懐の深さと言っても良いかもしれません。今回はそんな楽器の数々を紹介したいと思います。
三板(サンバ)
文字通り、三枚の板を紐でつないで、カスタネットよろしく、指の間に挟んで、賑やかにカチャカチャと打ち鳴らす楽器です。
私もそのクチなんですが、沖縄でお土産で買って帰った三板が転がっている人が多いんじゃないんでしょうか。だいたい、一人でガチャガチャと三板を打ってても、楽しく無いのも本当ですしね。沖縄民謡の名脇役な楽器だと思います。
シンプルながらこの楽器の奥深さ、名人の打つ三板って本当に素晴らしい音とリズムを奏でます。沖縄三板協会なる団体も有り、毎年3月8日は「三板の日」としてイベントが開催されています。
私の三板との出会いは随分昔話で、今は国際通りにお店がありますが、以前は泊港の近くにあった、上原正吉先生のお店「ナークニ」でした。
沖縄を訪れたら必ず足を運んでいたんですが、ここのおばぁの三板が凄い!書いていて久しぶりに行きたくなってきました。古いYouTube動画を見つけたので貼り付けて置きます。
四ツ竹
こちらは三板よりも、もっとシンプル。二つに割った竹を両手に持ち、打ち鳴らします。右手と左手に二枚づつ、合計四枚の竹なので四ツ竹、そんな感じでしょうか。
三板と同じく、リズムを刻む楽器ですが、四ツ竹は民謡ではなく、琉球舞踊とセットに使われる打楽器です。
鮮やかな朱色に塗られた四ツ竹を、花笠をかぶった踊り方が、カチカチと打ちながら舞う姿は優美の一言。
以前は退屈で仕方なかった古典音楽が楽しくなってきた近頃は、四ツ竹の音が心地良くなりました。
琉球笛
沖縄本島の民謡では、笛の伴奏を見ることは少ないかもしれませんが、琉球古典や八重山民謡、私達が学ぶ宮古民謡では、唄三線と琉球笛の組み合わせを良く見ます。
宮弦会関西支部の相談役である清村斉師匠はライブの際は必ずと言って良いぐらい、笛とのコンビで演奏されています。
竹に穴を開けたシンプルな笛ですが、独特の音色は琉球音楽には無くてはならない楽器だと思います。
私たちが学ぶ宮古民謡などは、笛がなければ八重山民謡じゃないと言われる八重山が近いということと、三線という楽器で伴奏が作られた時代に、沖縄本島の古典音楽が参考にされたと言われるぐらいに通づる部分が多く、琉笛が使われることが多いのでは無いでしょうか。
琉球笛は「ファンソウ」とも呼ばれるそうで(私自身はそんな風に呼ぶのは聞いたこと無いですが)、他の琉球楽器と同じく、中国から伝わった笛だとのこと。
私の周りにも琉球笛や篠笛の奏者が何名かおりますんで、三線もままならない自分ですが、時々ピーヒャラと音を出しています。
琉球箏(りゅうきゅうそう)
琉球箏、私らが知るところの、いわゆるお琴です。画像では一番右で演奏されています。
お琴を目の当たりにしたことのある方は少ないかもしれませんが、日本人にとっては、お正月など目出度い日に、どこからか聞こえてくる琴の音は誰もが知るところだと思います。
厳密に言えば、箏と琴というのは別の楽器になるそうで、琴という呼び方が一般的、宮弦会の先生方も琴と呼んでいます。
三線と同じく、中国から琉球王朝へ、更に内地へと伝わったと言われています。これまた三線と同じく、王朝の宮廷内には専門の役職までもがあったそうです。
一般の人が琉球箏にふれる様になったのは、沖縄県になってからだそうで、琉球古典では三線と琉球箏は定番の組み合わせです。
琉球箏が独奏されることはなく、三線や琉球笛など他の楽器と一緒に演奏されます。
決して三線の音色を邪魔する訳でも無く、箏が加わることで、琉球古典ならではの音の広がりをもたらす素晴らしい楽器じゃないでしょうか。
胡弓(クーチョー)
内地の胡弓とは少し違った、三線と同じくニシキヘビの皮が張られた弦楽器です。そのルーツの詳細は解らない、ということですが、他の琉球楽器と同じく、大陸からやって来たと言うのは間違いないでしょう。
バイオリンの様に弓を現に擦りつけて音を出しますが、バイオリンと違って、胡弓本体を回して音を出します。
元々は3本の絃だったものが、琉球古典音楽で使われる低い音を出すために四弦胡弓が提案され、今はそれが一般的に普及しているそうです。
胡弓もまた、琉球古典や舞踊の伴奏で使われていますね。
古典を演らないし、珍しく見かけても、何気なく良い音だなと見ているもので、画像がありません。入手次第にまたアップしたいと思います。
色んな島太鼓
琉球芸能と太鼓のセットは定番中の定番です。民謡にも舞踊にも、色んなシーンで登場します。中でも、エイサーの太鼓は皆さんご存知かと思います。私なども三線を知る前にエイサーは知ってましたから。
大きさも様々、古典音楽では太鼓も座って叩かれます。
平太鼓と締太鼓
民謡、古典に限らず、三線とのコンビの定番なのがこの平太鼓と締太鼓のセットじゃないでしょうか。民謡酒場などに行ったことがあれば、必ず見たことがあるかと思います。
締太鼓が二つ並んでいたり、シンバルと組み合わせられたりと、最近は色んな組み合わせを見かけますが、画像の組み合わせが基本です。
パーランクー
三線とパーランクーだけという組み合わせはあんまり見ませんが、エイサーには無くてはならない小太鼓がパーランクーです。
このページにたどり着いた方が、沖縄の伝統芸能であるエイサーを知らないというのはレアだと思います。今では、私が住む大阪の小学校でも運動会では、ダンボール作られた、自作のパーランクーを片手に踊っているぐらいメジャーになりました。
余談ですが、春夏行われる甲子園での高校野球では、一昔前は、パーランクを使った応援が名物だったりしたものです。
自分の出身地を応援するのが高校野球の楽しみじゃないですか、パーランクや太鼓が鳴り響く応援は、沖縄の人にとったら、子供の頃から慣れ親しんだ風景だったと思うんですが、それが「奇異」として今では禁止となっているのは、少々残念だなと思います。
本場へ行くと、パーランクを使ったエイサーとしては、平敷屋(へしきや)エイサーが良く知られます。
一般的な大きな太鼓を用いず、シンプルで美しい所作のパーランクーのバチさばきは素晴らしいものがあります。
エイサーの原型とも呼ばれる平敷屋エイサーは、旧盆中は集落を回りますが「平敷屋青年エイサーの夕べ」というイベントで見ることが出来るそうで、私自身も機会を作って足を運びたいと思ってはや数年、内地に暮らす残念です。
とは言っても、今では大阪に暮らしながらも、あちこちの催しにて、エイサーを見ることが出来ます。
パーランクはこんな使い方も出来ます。
清村師匠の工房の壁には、パーランクがサイン色紙になってます。色紙と比べると少々高く付きますが、素敵なレイアウトじゃ無いかと思います。
チヂン太鼓
同じ琉球諸島の奄美大島では、三線だけでは無く、使われる太鼓も違ってきます。今はスタンドなんかも利用されますが、奄美のチヂン太鼓の基本は片手に持ってお囃子とともに叩かれます。
また、八月踊りと呼ばれる旧暦の8月に行われる考祖祭では、チヂン太鼓を打つ音に合わせて輪になって踊ります。
コメント2件
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それは中国から伝わったダブルリードの吹奏楽器、沖縄名「ガク」のことですね。その音色から「ピーラルラー」とも言います。中国語でスオナ、いわゆるチャルメラのことです。今でも沖縄で使われていますよ。
はじめまして。明治時代の琉球に関する古文書を翻刻しています。文書中に琉球楽器で演奏会をしたくだりがあって、楽器の名前も書かれているのですが(「鑼」「喇叭」「鼓」「吶唄」など)、「吶唄」だけが分かりません。イラスト?も添えてあって、「吶唄」は吹奏楽器のように見えます。
「吶唄」がどのようなものか、もしご存知でしたら御教示下さい。
宜しくお願い致します。