三線の型は全部で七種類とプラスα
三線仲間と連れ立ってお邪魔した「三線工房きよむら」で、清村師匠から色んな三線の型の話を聞き、大いに盛り上がりました。
三線には、琉球王朝の時代から現代に伝わる七つの型を中心に色んな三線がある、今回紹介するのはそんなお話です。
七つの伝統的な型の三線
七つの伝統的な三線の型は以下になります。
真壁型(マカビ)
与那城型(ユナグシク)
南風原型(フェーバル)
知念大工型(チネンデーク)
平仲知念型(ヒラナカチネン)
久場春殿型(クバシュンデン)
久葉の骨型(クバヌフニ)
ご存じない方には分かりづらい例えで申し訳ないですが、エレキギターで言う所のストラトキャスターにレスポール、テレキャスターなど定番の方が有り、更にそこから色んな型が派生して、フライングVとか沢山の変形ギターも存在します。
三線も同じような物、まずは七つの型、そこから同じ型でも製作者によってちょっと違う三線が作られるし、数は少ないものの七つの型に当てはまらない三線もあります。
七つの型の中でも、一番流通しているのは真壁型、一説によると流通する三線の八割以上が真壁型だと言われる位に真壁は一般的な三線の型になっています。
真壁型は琉球王朝時代の名工・真壁里之子(マカビサトゥヌシ)の作で、三線の名器、開鐘(けーじょー)と呼ばれる三線は全て真壁作だと言う事です。
これらの七つの型の呼び名は、三線職人の名前が付けられていて、与那城型型を作った与那城さん、知念大工型を作った知念さんに知念の弟子の平仲さんが作った平仲知念型、そんな感じです。
同じ型でもちょっと違う
例えば、最も古い三線の型だと言われる南風原には「拝領南風原型(ハイリョウフェーバル)」「翁長親雲上型(オナガペーチン)」と言う南風原があるし、
真壁に続いて古典の奏者に愛用者が多いユナーと呼ばれる与那城型は「小与那型(クーユナー)」「江戸与那型(エドユナー)」「佐久川与那型(サクェカーユナー)」「鴨口与那型(カモグチユナー)」の四つに分けられます。
他にも(自分が知らないだけで、まだまだ有るのかも知れませんが)、大真壁型(ウフマカビ)や小知念大工(クーチネンデーク)と言った呼び方も三線店や沖縄の三線弾きから話を聞いていると耳にします。
沖縄の方言で、ウフは「大きい」、クーは「小さい」で、文字通りに大きい真壁型、小さい知念大工型と言う意味です。(「小与那型(クーユナー)」)も小さいユナーです)
クーの付く小与那型や小知念大工には図面が残されているのに、ウフには無くて、「ウフ三線」は完全に職人の創作で作られているのだとか。
ある程度三線歴も長くなってきた自分にも、まだまだひと目でこれらの三線の型の細かい違いは区別出来ませんが、毎日三線と向き合っている職人さんともなると、各型の区別は当然、誰々が作った真壁だ、とか判るんだそう。
同じ型でも職人によって違う
同じ型でも職人によって違うと言うのは、ご覧の様に画像を並べて見比べると一目瞭然です。
二挺とも久場春殿型の三線ですが、天の作りだけ見比べても明らかに違いが分ります。横から見ると厚みやカーブの付け方、大きさまで異なります。
この二挺の久場春殿型は違いが特に良く分りますが、自分の手元に有る真壁型の二挺も見比べると、やっぱり天の幅や曲がりが微妙に違ったり、細部の仕上げとか、職人によって作りが違うのが見て取れます。
ある意味、当然、例え、同じ職人でも一生寸分違わぬ同じ三線ばかりを作り続けると言うのは有り得ないでしょう、何十年も三線を作り続けていると、十年前、二十年前と今作る三線が全く同じなど考えられませんから。
三線以外でも、職人や芸術家達の仕事って、これは◯◯の初期の作品だ、とか言われるのを見ますから。
同じ職人が作る三線でもこれだけ違ってくる訳で、それぞれの職人が同じ型の三線を作っても、出来上がる三線が違ってくるのは当然なのは言わずもがな、です。
その他の型
画像引用:琉球楽器またよし Yahoo!ショップ
伝統的な七つの型以外にも、画像の又吉真栄氏作のマテーシー千鳥などは有名ですし、一昔前の村々には、大工や木工の職人が空き時間に三線作ったりする三線作り名人がいて、伝統的な七つの型以外にも自由な型、自由な発想で作られた三線が沢山あったそうです。
画像引用:大阪発 中年親父の道楽ブログ
画像は時々教室に遊びに来てくれる、奄美民謡を演るMさん所有のおじーの形見の三線。
もう何十年も前に奄美で作られた三線だそう。七つの型、どれにも当て嵌まりまらない珍しい三線です。
画像引用:大阪発 中年親父の道楽ブログ
<クリックして拡大して読めます>
こんな三線もあるようです。
まとめ
色んな形の三線が有る、と言う話でした。
とは言うものの、型のことを知って、こだわりが出てくる様になるのはずっと三線を続けた先にある話、そもそも、これから三線を始める方にとっては、三線の型が色々あるとか知る由もないのは間違い無いと思います。
リーズナブルに流通している三線はほぼ真壁、いきなり三線屋が初めての方に久場春殿型をすすめることはありえません。
通販で購入するとか、色んな偶然が重ならない限り、初めての方が手にする三線は真壁になるかと思います。
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